「どういう構成の図なの?」
「何の目的で作るの?」
「書き方の手順とポイントを知りたい」
こんな疑問や悩みをお持ちの方に向けた記事です。
品質保証体系図とは、製品の企画、設計からアフターサービスに至るまでの各ステップにおいて、各組織がどのような役割で品質保証に携わるか、図式化したものです。
この記事では、品質保証体系図の構成、作る目的とメリット、書き方の手順とポイントについて解説しています。
初めての方にもわかるよう、基本の構成から説明していますので、参考になればうれしいです。
品質保証体系図とは?
保証を体系的に表すってどういうこと?
製品開発のステップと組織体制を軸に取って、各ステップでの業務を組織ごとに割り振って、フローチャートに表したものです。
縦軸には製品の開発ステップ、横軸には関係する組織を記載します。
また、個々の詳細の業務をフローチャートにして、それぞれ担当する組織に該当する箇所に配置します。
横軸の右側には、会議や設計審査(DR:Design Review)などのホールドポイントや、標準類・帳票類といったドキュメントの項目を記載します。
問題点や改善事項が出た場合として、再検討の流れを表すフィードバックの経路が設けられていることも特徴の一つです。
目的・用途・メリット
1.開発ステップの管理
製品の企画から出荷、アフターサービスに至るまでの一連の開発ステップを一枚の図として表せることが特徴です。
そのため、いま全体の流れの中のどの位置にいるのか、製品として出荷できるまでに必要な検討事項は何か、品質保証体系図から把握することができます。
2.組織の役割の明確化
上流と下流の工程など、複数のステップに携わる場合、自部門の役割としての認識から漏れてしまう可能性があります。
それぞれの開発ステップにおいて、各組織が担当する業務を見える化することで、役割を明確にすることができます。
3.社内標準、外部監査用の資料
品質マニュアルなどの社内標準にする場合にも有効に活用できます。
また、自社内の組織体制を端的に表すことができるので、外部監査や客先の品質監査など、第三者に説明する上でも効果的です。
書き方の手順
1.縦軸と横軸の項目を記載する
最初にマトリックスの縦軸と横軸の項目を記載します。
縦軸には製品の開発ステップ、横軸には関係する組織を挙げますが、それぞれ上流から下流の流れの順に記載しましょう。
特に横軸の組織は、関連の強い部門を並べて配置することが望ましいです。
というのも、ひとつの業務が複数の部門に関わる場合、同じ項目を何か所にも配置すると見栄えが悪くなるからです。
2.業務、会議体、標準類を整理する
マトリックスの中身にあたる項目を整理していきます。
いきなり図の中に書き出すのではなく、あらかじめ項目を列挙して、漏れがないか確認するようにしましょう。
3.フローチャートにする
項目を挙げたら、マトリックスの該当する箇所に配置していきます。
さらに、各項目を矢印で結んで、フローチャートにします。
同じセルに複数の業務を配置する場合には、できるだけ時系列に沿って上から下に流れるようにした方が見栄えが良くなります。
書き方のポイント
1.矢印の始点と終点を明確に
項目が多く、矢印が行き交う場合には、どの項目どうしが結ばれているのか分かりにくくなってしまいます。
始点と終点が曖昧にならないよう、矢印の引き出す向きを変えてみたり、項目を少しずらして配置したりするなど、工夫を施しましょう。
2.項目のワードは端的に
業務の項目を記載する場合には、できるだけ端的なワードで表現するようにした方が見栄えがスッキリします。
そもそも、品質保証体系図の一枚で業務内容の細部まで全てを表現できないので、あくまで全体像を把握できる利点として活用することを忘れてはいけません。
特に、各業務の区切りは人によって認識の食い違いが出るので、開発ステップ管理書など、業務範囲の詳細を規定したドキュメントと併用するようにしましょう。
3.関係部門全体で作り上げる
品質部門が主導して作成することが多いですが、必ず関係部門と認識を合わせながら作り上げるようにしましょう。
いざ生産が始まってトラブルが出た場合に、各部門が担当範囲として認識していなかったなどと言い始めると、責任を押し付けあう始末となります。
新製品の開発プロジェクトが始まった段階で、きちんと責任範囲を共有しておくことが大切です。
最初にしっかりと分担を決めておこう
まとめ
- 品質保証体系図
⇒製品の企画、設計からアフターサービスに至るまでの各ステップにおいて、各組織がどのような役割で品質保証に携わるか、図式化したもの - 目的・用途・メリット
⇒開発ステップの管理
組織の役割の明確化
社内標準、外部監査用の資料 - 書き方の手順
⇒①:縦軸と横軸の項目を記載
②:業務、会議体、標準類を整理
③:フローチャートを作成 - 書き方のポイント
⇒矢印の始点と終点を明確に
項目のワードは端的に
関係部門全体で作り上げる
自部門の役割は認識していても、他部門や全体像の開発ステップを頭で整理するのは意外と難しいものです。
品質保証体系図にして一覧化することで、あらためて部門どうしの関連が見えてくるので、ぜひ活用してみてください。
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