QC検定(品質管理検定)2級の受検をお考えの皆さま必見です。
・QC検定2級の試験問題の構成は?
・各出題分野の特色はどんな感じなの?
・試験の時間配分はどうすればいいの?
このような疑問や悩みをお持ちではありませんか。
QC検定に限らず、試験ってどのくらいの時間配分で問題を解き進めれば良いのか、不安に思う人は少なくないと思います。
この記事では、私がQC検定を受検したときの経験をもとに、QC2級の時間配分の目安として一例を紹介します。
なお、3級対策編は以下の記事で紹介しています。
試験問題の構成
QC検定の出題分野は、まず大きく分けて手法編と実践編の2つに分類されます。
手法編では、統計的品質管理の代表的な手法を用いた計算や定義に関する知識を問われる問題が出題されます。
また、実践編ではQC的な考え方や品質の概念、QCストーリーといった用語の知識や、文脈から適切なワードを選ぶ文章の穴埋め問題が出題されます。
手法編と実践編でおおよそ50問ずつ、合わせて100問程度の問題構成となっています。
大問1つあたり4~8問程度の割り振りで、14~18個程度の大問で構成されます。
ここまでは、受検対象の級によらず共通の内容です。
2級の手法編では、主に相関/回帰分析、統計的推定・検定、実験計画法など、統計的品質管理の代表的な手法を用いた計算や定義に関する知識を問われる問題が出題されます。
3級と比べて、統計的手法を用いた複雑な計算がかなり多くなりますので、しっかりと基本から理解しておく必要があります。
2級問題の出題傾向は以下の記事で詳しく紹介していますので、合わせてご覧ください。
実践編では、方針管理や日常管理といった管理手法、品質の概念、QC的な考え方などに関する説明の穴埋め問題が多いです。
さらにはQCストーリーや品質保証に関する内容も登場しますが、どの分野に偏りがあるというわけではなく、これらの出題範囲が万遍なく出てくるような印象です。
これらの傾向は、聞いているだけでは感覚が掴みにくいですが、ご自身で複数回の過去問を解けば、何となく似たような問題が繰り返し登場することを体感できます。
試験対策で過去問はいずれ必要になると思いますので、まだ入手されていない方は、早いうちから準備して傾向分析に活用することをおススメします。
時間配分の目安
さて、試験問題の構成がイメージできたところで、それぞれの大問をどのようなペース配分で解き進めれば良いのか、一例を紹介します。
人それぞれ得意・不得意の分野がありますので、あくまで目安の一つとしてご覧ください。
私の場合、以下のような配分で解くことを心がけて、普段の勉強での過去問の演習などに取り入れていました。
試験時間は90分、ずばりシンプルに1/3ずつの配分です。
3級対策編でも同じように紹介したので、あまり工夫がないように思われても仕方ないですが、問題の構成が同じであるため、やはり大きくは変わりません。
見直し時間が長すぎるんじゃないの?と思いますが、試験本番の緊張感やマークミスのチェックを考慮すると、このくらいは普段から出せる実力をつけておきたいです。
手法編は正直なところ、結構きついノルマです。
平均すると1個の大問を3~4分のペースで解く計算になります。
これを実現するには、途中で悩んで立ち止まる暇はありません。
そして、2級の幅広い試験分野をこのペースで解くには、基礎知識の土台を固めるのはもちろんのこと、各分野の問題の特性を知って心構えをもっておくのが良いと思います。
具体的にどういうことか、次の章で詳しく説明します。
2級の試験分野の特性
まず、2級の出題分野をおさらいしましょう。
手法編は大きく次の8つの分野に分けられます。
3級には登場しなかった分野が多く、これだけで出題範囲の広さを感じ取れますね。
そして、私なりに独自に分析したものですが、これらの8つの分野は暗記系と計算系、小問どうしの連続性の有無によって、それぞれの特性を次のようにマッピングできます。
この座標系のどこに位置するかによって、試験本番で問題に向き合う上での姿勢に影響すると思いますので、参考にしてみてください。
ずばり、ポイントは以下の4つのグループです。
- グループA:最初の計算をミスったら致命傷
- グループB:用語や式の定義を知らないと解けない
- グループC:丸暗記の勉強だけでは非効率
- グループD:全滅とも限らないので諦めずに
ひとつずつ見ていきましょう。
グループA:実験計画法、相関/回帰分析
まず、グループAは計算系の特色が強く、かつ小問ごとの連続性の高い分野で、実験計画法や相関/回帰分析が該当します。
グループAでは、小問の最初の方で偏差平方和を計算して、これをもとに分散分析や回帰式を計算して導出していきます。
そのため、最初の偏差平方和を間違えると致命的で、後の小問の全てに波及するといっても過言ではありません。
また厄介なことに、偏差平方和の計算がけっこう複雑で、サンプルサイズで割るのを忘れたり、単純に電卓を押し間違えたり、色々と落とし穴が待っています。
試験中に余裕がないかもしれませんが、平方和の計算は一度検算を入れるか、頭のなかで思い出すだけでなく式を問題用紙に書くなど、少し慎重なアプローチを取っても良いと思います。
グループB:抜取検査、管理図
グループAの反対に位置するもので、主に暗記系の問題で、かつ小問どうしの関連性はあまりなく単独で解答を出す特性のものです。
抜取検査や管理図がここに分類されます。
抜取検査では用語の定義や抜取検査表を読み取る問題が多く、管理図では用語の定義の他に付表の係数を用いて管理限界線の値を求める問題が多いです。
小問どうしの関連性があまりないので、最初の問題を間違えるとドミノ倒し的に全滅なんてことは少ないですが、暗記の性質が強いため定義を知らないと解けない点に注意です。
例えば、抜取検査の生産者危険と消費者危険の考え方や、管理図の管理限界線の定義式など、定義を知らないと意味不明の単語や記号の羅列になって、手も足も出せなくなります。
反対に定義をきちんと覚えておけばサクサクと解けるので、時間の余裕を確保して他の分野に充てられるようにしておきたいですね。
グループC:統計的検定、信頼性工学、管理図
計算系と暗記系の両方が求められる領域です。
このグループでは、検定統計量や信頼度、管理限界値など、定義の式にもとづいて簡単な四則演算で答えを導きだします。
計算自体は実験計画法の偏差平方和ほど複雑ではないですが、例えば統計的検定では検定の種類が数多くあり、その分だけ扱う式も多岐にわたります。
ここでの注意点としては、なるべく丸暗記をせずに、式の構造の意味を理解しながら学習することです。
例えば、平均値に関する検定では、母平均の検定、平均値の差の検定といった計量値の検定だけでなく、不適合品率や不適合数など計数値の検定など数多くあります。
しかし、これらの検定統計量はいずれも同じ構造の式で表され、平均値を差し引いて標準偏差で割って無次元化する「標準化」を理解していれば、すべて同じ理論で説明が付きます。
そのため、まずは理論や式の構造など大枠から理解して、そこから個別の種類の定義を見てみれば、全部同じじゃないかと意外と単純なことに気づきます。
なお、管理限界値に関しても、種類がいくつかありますが、2級の出題内容においては範囲が限られるので、暗記してしまっても良いと思います。
式の形自体が非常に単純で、覚えることが難しいわけでもなく、限られた試験時間内での効率を考えると、臨機応変に暗記で済ませる手段も考えておくことも必要です。
ただ、試験勉強の余裕のあるうちに、一度は式の構造を理解しておくことをおススメします。
このサイトでも、QC検定の対策以外に統計的品質管理の各手法の基礎知識を紹介していますので、ぜひサイトマップからご覧ください。
グループD:区間推定、確率分布、信頼性工学
最後にグループDは、小問どうしの関連性が強いとも弱いとも言えない領域です。
この分野は年度によって問題の性質も少し変わるので一概には言えませんが、一見すべての小問が繋がっているように見えますが、単独で答えを導けるものが混ざっています。
例えば、確率分布や信頼性工学では、確率分布や信頼性システムが登場しますが、いくつかの種類のものがまとめて登場するので部分的には解けるものがある可能性があります。
また、区間推定は統計的検定の大問の一部として登場することも多いので、検定のところで行き詰っていても、信頼区間の定義式だけは答えられる場合もあります。
いずれにせよ、途中で詰まったからといって丸投げするには早いので、あきらめずに解ける箇所がないか粘ってみましょう。
おススメの解く順番
1級・2級を受検の方におススメしているのは、試験本番ではまず実践編から解き始めることです。
先ほどにも述べた通り、時間との勝負が一番のポイントになります。
そして、解答に要する時間を見積りやすいのは実践編の問題です。
用語を選ぶ問題や、文脈から適切と判断されるワードを選ぶ問題では、時間をかけて悩んだところで結果があまり変わらないことが多いからです。
繰り返し文章を読み込めば、多少理解が深まることは期待できますが、用語を知らないものはいくら捻り出そうとしてもどうしようもありません。
そのため、分からないところでいつまでも止まっているのではなく、次々と進めてしまって、最後に見直しの時間を残して、取りこぼしを拾い直すようにしましょう。
QC検定の合格ラインの目安は、手法編・実践編でおおむね7割程度と言われていますので、逆に言うと完璧を求める必要は全くありません。
一方、手法編では電卓を使って計算する問題も多く、補助表を作るのに時間を要したり、途中で間違えて計算をやり直したり、時間を見積もりにくいところがあります。
そして、試験本番で想定より時間が経っていることに気づくと、焦りにつながって一層と集中力が落ちる要因になってしまいます。
あらかじめペース配分の目安を決めておき、苦手分野や想定以上に時間を費やす問題があれば後回しにするなど、決断する勇気を持っておきましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
繰り返しになりますが、満点を取る必要はなく、合格基準である7割を満たすことが目的です。
そのためには、途中で時間切れになることは絶対に避けなければならず、むしろマークシートの記入ミスなどを見直す時間を残しておくことが必要です。
あらかじめ問題のボリューム感と特性を把握し、ペース配分の目安を決めておくことで、試験当日に少しでも落ち着いて望むことができます。
ぜひ、試験勉強の合間にイメージを膨らませておいて、試験本番での時間の使い方をプランニングしておきましょう。
なお、QC検定のおすすめ勉強方法や教材については、以下の記事で詳しく紹介していますので、合わせてご覧ください。
それでは、皆さまのご健闘をお祈りしております。
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