このたび、当サイトで公開しているFMEAおよびFTAの解説図を、SAT株式会社様が提供する「航空・宇宙産業」講座の教材でご紹介いただきました。
当サイトでは、品質管理の手法を初めて学ぶ方にも理解しやすいよう、できるだけ実務に近い例を取り入れつつ解説してきました。
その内容を、航空・宇宙産業を学ぶ技術者向け教材に活用していただけたことを、大変うれしく思います。
今回は、教材に掲載されたFMEA・FTAとはどのような手法なのか、航空・宇宙産業でなぜ重要なのか、そして掲載いただいた講座について簡単にご紹介します。
掲載された解説図
今回教材でご紹介いただいたのは、当サイトの次の記事で使用している図です。
FMEAとFTAは、いずれも製品やシステムのリスクを事前に検討するための手法ですが、分析の出発点と考え方が異なります。
FMEAは、構成要素や機能を一つずつ確認し、「どのような故障モードがあるか」「その故障が上位システムや利用者にどのような影響を与えるか」を分析する、ボトムアップ型の手法です。
一方のFTAは、事故や機能喪失などの防止すべき事象を最初に設定し、その事象を引き起こす原因を論理記号で分解していく、トップダウン型の手法です。
両者は対立するものではなく、FMEAで幅広く故障モードを抽出し、重大な事象についてFTAで原因の組み合わせを詳しく検討するなど、組み合わせて活用できます。
FMEAとFTAの詳しい進め方や事例は、ぜひ上記の記事をご覧ください。
なぜ航空・宇宙産業でFMEA・FTAが重要なのか
私は過去に10年ほど、航空・宇宙分野の仕事に携わっていたこともあり、FMEAやFTAなどの品質保証の手法が有効に活用できることを実務として経験してきました。
今回のSAT株式会社様との繋がりは偶然ですが、私自身も設計者として重要性を学んできた分野でもあり、何かの縁を感じます。
航空機や宇宙機器は、多数の部品、装置、ソフトウェアが連携して一つの機能を実現する複雑なシステムです。
そのため、単に「部品が壊れるかどうか」を確認するだけでは十分ではありません。故障したときに機体やミッションへどのような影響が及ぶのか、代替機能があるのか、複数の故障が重なったときに重大事象へ至らないか、といった観点まで検討する必要があります。
FMEAは、構成要素ごとの故障モードと影響を漏れなく洗い出すことに適しています。一方、FTAは、重大事故や重要機能の喪失につながる原因の組み合わせを論理的に整理することに適しています。
このような背景から、FMEAとFTAは、航空・宇宙分野の安全性や信頼性を考えるうえで、重要な基本手法の一つとなります。
掲載先の「航空・宇宙産業」講座について
今回、当サイトの図をご紹介いただいたのは、SAT株式会社様の技術者スターター講座100「航空・宇宙産業」です。
この講座の特徴は、FMEAやFTAなどの個別手法だけでなく、航空・宇宙産業の全体像を体系的に学べることです。
講座では、航空・宇宙産業の歴史や市場動向に加えて、航空機・エンジン、宇宙機器、開発プロセス、MRO、設計技術、材料技術、生産技術、品質保証などが幅広く取り上げられています。
講師は航空エンジン開発の実務経験を持つ技術コンサルタントで、これから航空・宇宙産業に関わる方が、業界全体を理解するための入門講座として構成されています。
特に、FMEAやFTAの書き方だけを学ぶのではなく、「なぜ航空・宇宙産業ではこのようなリスク分析が必要なのか」を業界構造や開発プロセスと合わせて理解したい方に適していると感じます。
品質保証担当者だけでなく、設計、生産技術、調達、営業など、航空・宇宙事業に関わる幅広い職種の基礎教育にも活用しやすい内容と思います。
さいごに
品質管理の手法は、用語や帳票の形式だけを覚えるのではなく、実際の製品や業務で何を防ぎ、どのような判断に使うのかを理解することが重要です。
今後も当サイトでは、品質管理や信頼性に関する手法を、初めて学ぶ方にも分かりやすい図と事例で解説していきます。
航空・宇宙産業の市場、技術、開発、生産、品質保証までを体系的に学びたい方は、SAT株式会社の「航空・宇宙産業」講座もぜひご覧ください。




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