区間推定を習得する(その玖) 2つの母不適合数の差の信頼区間

統計的推定

区間推定(その捌:1つの母不適合数)の続編です。

この記事では、2つの母不適合数の差に関する信頼区間の計算方法、計算式の構成について、初心者の方にもわかりやすいよう例題を交えながら解説しています。

不適合数の信頼区間は、この記事で完結して解説していますが、標本調査の考え方など、その壱から段階を追って説明しています。

さまざまな区間推定の種類を網羅的に学習したい方は、ぜひ最初から読んでみてください。

区間推定を習得する(その壱) 母平均の信頼区間の求め方
母平均の信頼区間を求める場合、母分散が既知の場合には標準正規分布、未知の場合にはt分布を使う方法に分かれます。この記事では、それぞれの方法に対する母平均の信頼区間の計算方法、計算式の構成について、初心者の方にもわかりやすいよう例題を交えながら解説しています。

また、この記事では、その捌の続編として母不適合数の定義やポアソン分布との関係性についての基本的な説明を省略しています。

あらためて定義から確認したいという方は、合わせて参考にしていただければと思います。

区間推定を習得する(その捌) 母不適合数の信頼区間の求め方
「不適合品」とは規格に適合しないもの、すなわち不良品のことを意味し、ポアソン分布の考え方と標準正規分布の確率から区間推定を行うことができます。この記事では、1つの母不適合数における信頼区間の計算方法、計算式の構成について、初心者の方にもわかりやすいよう例題を交えながら解説しています。

母不適合数の信頼区間の求め方

信頼区間の計算式

2つの母不適合数の差の確率分布に関しても、1つの母不適合数と同様に、標準正規分布$N(0,1)$に従います

標準正規分布では、分布の横軸($Z$値)に対して、全体の何%を占めているのか対応する確率が決まっており、エクセルのNORM.S.DIST関数標準正規分布表で簡単に求められます。

そして、この$Z$値を係数として用いることで、信頼度○○%の信頼区間の幅を計算することができるのです。

2つの集団を$A, B$と名付けると、母不適合数の差の信頼区間の計算式は、以下のように表されます。

$A$と$B$はそれぞれの集団を意味し、$\bar{λ}_{A}, \bar{λ}_{B}$は標本不適合数$λ_{A}, λ_{B}$は母不適合数$n_{A}, n_{B}$はサンプルサイズを表します。

$Z$は標準正規分布の$Z$値$α$は信頼度を意味し、例えば信頼度95%の場合、$(1-α)/2=0.025$、$Z((1-α)/2)=1.96$となります。

計算式の構造は、1つの母不適合数の場合と同じなので覚えやすいですね。

とらまる
とらまる

その壱から何度も見てきた式の形だね

計算の手順

それでは、実際に母不適合数の差の区間推定をやってみましょう。

過去2年半での市場不具合の発生件数が7件であった製品A、過去5年間での不具合件数が2件であった製品Bにおいて、一カ月あたりの不具合発生件数の差の95%信頼区間はいくらとなるでしょうか?

1.標本不適合数を求める

サンプリングの結果から、それぞれの集団の標本不適合数$\bar{λ}_{A}, \bar{λ}_{B}$を求めます。



2.対応する$Z$値を求める

信頼度に対応する$Z$値を求めます。

今回の場合、求めたい信頼区間は95%(0.95)となるので、$0~z$に収まる確率が$0.475$となる$z$の値を標準正規分布表から読み取ると、$z=1.96$と求めることができました。



3.信頼区間を計算する

先ほどの式に信頼区間95%の$Z$値を入れると、以下の不等式が成立します。

平方根の中に含まれる$λ_{A}, λ_{B}$については、1つの母不適合数の場合と同様に、それぞれの標本比率に置き換えて計算します。

あとは、母不適合数の差$(λ_{A}-λ_{B})$に対して変換し、各値を代入すると以下のように信頼区間を求めることができました。

区間推定はもうバッチリ

まとめ

  • 母不適合数の差の信頼区間の求め方
    ⇒標準正規分布の$Z$値を用いる
  • 計算の手順
    ⇒標本不適合数を求める
     対応する$Z$値を求める
     信頼区間を計算する

その玖編は以上です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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この記事を書いた人
こてつ

【経歴】
関東在住、30代後半、大手電機メーカの生産技術職。
これまで、研究開発、機構設計、生産技術、仕入先の品質管理を手掛ける。

【保有知識・技術分野】
統計学、信頼性工学、品質工学。
半導体、基板、有機材料、金属、セラミックスの材料、製造、加工技術。
部品加工(機械加工、化学処理)、組立・実装技術、分析・物理解析技術。
QC検定1級保有。

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