QC検定(品質管理検定)3級の受検をお考えの皆さま必見です。
- 受検を考えているけど、何から勉強すればいいの?
- 分野ごとの出題の頻度は?
- どのような問題が出るのか傾向を知りたい
このような疑問や悩みをお持ちではありませんか。
仕事や日常生活の忙しい中で資格の勉強をするには、とにかく学習効率が重要です。
何となく机に向かい参考書を眺めているだけ、過去問や問題集の目の前の問題をただひたすら解いているだけでは、その時々の行き当たりばったりの勉強になってしまいます。
効率良く学習するには、まず出題分野の全体像を把握し、それぞれの分野でどのような特徴の問題が多く出題されるのか分析が必要です。
この記事では、QC検定3級の手法編の受検対策として、3級の出題分野、分野ごとの出題頻度、過去問から分析した問題の特徴を解説しています。
ぜひ、皆さんの参考になればうれしいです。
3級の出題分野
QC検定3級の手法編の出題分野は、日本規格協会グループのサイトにもレベル表に記載されていますが、主だったところを整理すると次のようになります。
基本統計量
データの種類や変数変換、平均値や標準偏差などの基本統計量に関する内容です。
QC検定の勉強として関わらずとも、統計学の基礎として学生時代から見聞きしたことのある内容も多いことかと思います。
QC7つ道具
製造業に関わる人であれば、名前くらい一度は聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。
ただ、7つ道具すべての名称を知っている人や、それぞれの手法の特徴を理解している人は多くないかもしれません。
QC7つ道具は3級の手法編の中核と言える試験分野で、毎回出題されることはもちろんのこと、複数の大問でいくつもの手法が登場します。
避けては通れない分野ですので、3級の試験対策として最も力を入れるべき内容にあたります。
新QC7つ道具
QC7つ道具はともかく、新QC7つ道具まで特徴を理解している人は一層少ないのではないかと思います。
私もQC検定の勉強を通して、新QC7つ道具の種類や特徴を勉強しましたが、習得してみると意外と業務で活用できるものも多いです。
実際に、PDPC法やアローダイアグラム法、マトリックス図法など、ほとんどの手法を工程改善の業務に活用してきました。
自分で実践して使ってみたら理解も深まるので、むしろ試験対策の一環として時間的に余裕のあるうちに、ご自身の業務上の課題に当てはめて活用してみてもよいかもしれません。
正規分布/二項分布
統計的方法の基礎として、確率分布の中でも代表格と言える2つです。
それぞれ何となく、分布の形だけなら知っている方も多いかもしれませんが、標準正規分布表から確率を読み取ったり、簡単な確率計算をしたりする必要があります。
特に、確率の計算は選択肢が数字の羅列になっており、消去法で選ぶことが非常に難しいです。
また、工程能力指数と組み合わせた問題では、それぞれの用語の意味や計算式を正しく理解しておく必要があるので、解法の手順をしっかりと押さえておきましょう。
分野ごとの出題頻度
ここで先ほどの出題分野に関して、2018年から2021年までの6回の試験での登場する頻度を見てみましょう。
次の表の丸印は、その分野の問題が出題されたことを表しています。
出題分野を大きく分類したこともありますが、ほぼすべて毎回に近いことがお分かりいただけると思います。
QC検定では合格基準の目安として、7割程度の正解率と言われており、各大問につき5~8問程度の小問が設定されています。
小問は手法編と実践編合わせて100問近くあるので、仮に8割正解を目指すとなると約80問の正解が必要となります。
つまり、苦手分野を丸ごと捨てたり、最初の小問で間違えたりすると、大きなダメージを受けることになり、合格の可能性が大きく遠のいてしまいます。
試験本番で焦らず柔軟に対処できるようにするためにも、次に示す問題の特徴をきちんと押さえて、どのような形式で問われても苦手意識の残らないよう準備しておきましょう。
過去問の特徴
2018年から2021年までの過去問をもとに、私なりに特徴を分析してみました。
順番に一つずつ見ていきましょう。
基本統計量
- 平均値、不偏分散、標準偏差を計算する問題
- 最大値、最小値、中央値、範囲を選ぶ問題
- 変数変換を扱う問題
平均値、最大値、最小値はお馴染みの統計量ですね。
中央値はデータを値の順番に並べたときに真ん中に位置する値のことです。
特にデータ数が偶数個の場合の定義について、きちんと覚えておきましょう。
また、不偏分散や標準偏差は定義を理解することはもちろん、計算も複雑なので注意が必要です。
以下の模擬問題で注意点と合わせて詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
QC7つ道具の全般
- 説明文に合致したQC7つ道具の手法を選ぶ問題
- 図に合致したQC7つ道具の名称を選ぶ問題
全般的なところでは、説明文もしくは図に合致した名称を選ぶ問題が多いです。
図は見た目に特徴的なものが多いので覚えやすいと思いますが、説明文は内容が長いものもあるので、キーワードを押さえて効率良く解き進めていけるようにしておきましょう。
ヒストグラム
- 形状から「型」を選ぶ問題
- 規格値との関係性を読み取る問題
- 区間の幅や境界値を計算する問題
ヒストグラムの形状を読み取る問題が多いです。
まずは基本的な型として左右に均等に分布した「一般型」を理解した上で、異常値や偏りが出た場合の型の特徴を覚えておきましょう。
さらには、規格値と分布の広がりとの位置関係を読み取る問題では、上限規格(SU)や下限規格(SL)といった用語と合わせて理解が必要です。
散布図
- 相関係数の大小関係に関する問題
- 偏差平方和から相関係数を求める問題
散布図を見て相関係数の大小を選ぶ問題が多く出題されます。
右上がり、右下がり、相関係数は±1の範囲内と特徴を掴んでおけば、さほど難しくありません。
また、与えられたデータから偏差平方和を求めて相関係数を導く問題も登場します。
定義の計算式を覚えておかないとサッパリなので、ここはしっかりと暗記しておきましょう。
パレート図
- 説明文に対応した不適合項目を選ぶ問題
- データ表に合致したパレート図を選ぶ問題
- 改善効果の金額を求める問題
パレート図は項目の大きさを表す棒グラフと、構成比率の折れ線グラフを組み合わせた複合グラフです。
構成比率の大きい順に左から並べるルールがあります。
これらの特徴を押さえたうえで、説明文やデータ表に合致した選択肢を選ぶ問題が出題されます。
また、不適合項目を金額に置き換えて、損失額や改善効果額を計算する問題もあります。
計算は四則演算の簡単なものですが、焦って項目と金額を見間違えたり、暗算を間違えたりするので、問題用紙の空きスペースなどに補助表を自分でメモしておくと良いでしょう。
チェックシート
- 説明文や表に合致したタイプを選ぶ問題
- チェックシートから傾向を読み取る問題
- 層別して傾向を読み取る問題
チェックシートはデータ集計を効率良く行うために用いられるツールで、目的に応じてさまざまな様式のものがあります。
種類は多いですが、それぞれの特徴を表すキーワードと合わせて覚えておけば難しくありません。
また、日付、作業者、機械など、複数の項目で集計された表から、自分で項目を分類(層別)して傾向を読み取る問題もあります。
これも、項目別に一つずつ集計値を読み取って足し合わせていけば問題ないと思います。
特性要因図
- 説明文の穴埋め問題
- 大骨・小骨など図の穴埋め問題
- ブレーンストーミングに関する問題
特性要因図で多い問題の傾向としては、説明文やブレーンストーミングに関する穴埋め問題です。
多くはキーワードから機械的に導くことができますが、暗記レベルで対処できない場合は、説明文の文脈から消去法で絞ることも可能なので、臨機応変に対応しましょう。
グラフ
- 説明文に合致したグラフの図を選ぶ問題
- 説明文に合致したグラフの名称を選ぶ問題
- レーダーチャートを読み取る問題
グラフというと範囲が広すぎて漠然としていますが、レーダーチャートの読み取り問題に関しては、一度は過去問で触れておくことをおススメします。
普段から使って見慣れている方であれば問題ないと思いますが、いきなりレーダーチャートが問題文にずらりと登場すると、異様に難しそうにみえてしまいます。
焦って、見た目の何となくの形状で選ばず、きちんと項目ごとの評価点数を読み取るようにしましょう。
また、この他の主なグラフの種類としては、棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフ、帯グラフなどがあり、それぞれどのような場面・目的で使うのか、図とセットで覚えておきましょう。
管理図
- 管理図の種類を選ぶ問題
- 管理限界線(UCL、LCL)を求める問題
- 工程能力指数(Cp、Cpk)を求める問題
- 群内変動、群間変動の特徴を選ぶ問題
管理図はQC7つ道具の中でも最も多く登場する手法の一つと言っても過言ではありません。
そして、他のQC7つ道具のように普段から馴染みのあるものではなく、一般的な知識だけでは解けないので、しっかりとした試験対策が必要です。
最初に厄介なのが、管理図の種類が多く、アルファベットの名前が覚えにくい点です。
$\bar{X}-R$管理図、$np$管理図、$p$管理図など、初見では名前から中身が想像つきません。
ただ、以下のようにアルファベットの意味とセットで理解しておけば効率よく覚えられます。
そして次に困るのが、$\bar{X}-R$管理図の管理限界線や規格値、群間変動、群内変動といった専門用語が次々と登場する点です。
これに関しては、時間をかけて基礎から理解するしかないので、以下の記事などを参考にしていただければと思います。
層別
- 層別して大小を比較する問題
- 層別して平均値などの統計量を計算する問題
- QC7つ道具の他の手法の問題で選択肢として登場
日時、作業者、機械などの項目ごとにデータを分類することを層別と言いますが、他のQC7つ道具の大問の一部として登場する場合や、単独で登場する場合などいくつかあります。
補助表などを作りながら落ち着いて対応すれば特に心配する必要はありません。
また、「層別する」といった動詞としての使い方をしますが、選択肢の中で動詞として使うものがそもそも多くないので、文脈からある程度推察することも可能です。
新QC7つ道具
- 説明文に合致した新QC7つ道具の手法を選ぶ問題
- 図に合致した新QC7つ道具の名称を選ぶ問題
新QC7つ道具はそれぞれの手法の詳細ではなく、手法の名称を選ぶ問題が多いです。
そもそも、各手法の名前も聞いたことのないものが多いかもしれませんが、キーワードを押さえれば長い説明文を細かく読まなくても絞ることができます。
図も見た目に特徴的なものが多いので、セットで覚えておきましょう。
正規分布
- ある範囲に入る確率を求める問題
- 標準化の定義の式を問う問題
- 工程能力指数と関連させた問題
正規分布では、標準正規分布表を読み取るスキルは必須です。
付表で標準正規分布表が掲載されますが、読み取り方を理解していないと膨大な数字のマトリックスを見て諦めに入らざるを得ません。
また、工程能力指数と関連付けた問題も多く登場するので、Cp、Cpkの定義と合わせて理解しておく必要があります。
二項分布
- 定義に関する問題
- 説明文に対応する図を選ぶ問題
二項分布は成功か失敗のいずれかとなる試行において、成功回数を確率変数とした離散型の確率分布です。
コイン投げで表が出る回数や、勝率○○%で当たりを引く回数など、一度は身近な例を聞いたことのある方も多いかもしれません。
問題の傾向としては、定義に関する説明文、期待値や分散を求めるものが多く、いずれも文脈などから判断できるものではありません。
暗記する項目自体は多くないので、しっかり準備しておきましょう。
まとめ
最後に出題分野と問題の特徴をもう一度整理しておきます。
ひとつ一つの過去問を暗記するのではなく問題の傾向として理解しておけば、知識として定着しやすくなり、また、試験本番での応用も利きやすくなります。
ご自身の苦手分野の克服の助けとなれば幸いです。
なお、QC検定のおすすめ勉強方法や教材については、以下の記事で詳しく紹介していますので、合わせてご覧ください。
それでは、皆さまのご健闘をお祈りしております。
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